あきののろるにっき

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【あきののろるにっき#25】Cloud9が繰り出した最先端メタ、ソナラックスに対するTeam Liquidの顔面カウンターパンチ

こんにちは、あきのです。

先日、LCSのCloud9 vs Team Liquid戦において、C9がソナとラックスのBot Duoという最先端メタを繰り出しましたが、TLが見事なカウンターパンチを叩き込み勝利を収めました。

この記事では、何故TLが見事なカウンターを決めることができたのか、その要因について考察したいと思います。

 

 

 

1.ソナラックスとは

ソナラックスとは、サポートアイテム(スペルシーフエッジ)を持ったソナとラックスのDuoでBotレーンを担当し、ゲーム内において他のレーンに置いたキャリーへソナとラックスのWによるヒールとシールド、更にアテネの血杯やアーデントセンサーのバフを付与することでゲーム全体をキャリーさせる構成のことです。

 

 

 

2.ソナラックスの強み・弱み

(1)長所

①シールド・サステインが豊富で、レーン戦でデスしにくい

マナの問題はあるものの、ソナのW、ラックスのWによるAoEシールド・サステインに加え、今回のC9はソナがバリア+エアリー、ラックスがヒール+ガーディアンとガチガチの防御振りであることから、ジャングラーの介入なしにこのBot Duoを潰すのは至難の業です。

②視界が取りやすい

二人がサポートアイテムを持つことで、終盤のワードの個数が4つ増えるため、オブジェクト周りの視界が取りやすくなります(単純に視界の量が増えるだけでなく、相手にコントロールワードやオラクルレンズを多く消費させる側面もあります)。

加えて、ラックスのEの射程距離・視界範囲・効果時間が長いことから、安全なブッシュチェックを行うことも可能です。

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③中盤以降に他のチャンピオンにCSを渡しやすい

アテネの血杯やアーデントセンサーなどのバフ系アイテムはコストパフォーマンスが良いこと、自身はゴールド効率の良いサポートアイテムを持っていることから、比較的安価な装備で強くなることができます。

即ち、中盤以降のミニオンを、味方の育てたい対象(バフしたい対象)に譲ることができ、中盤以降のパワースパイクを(多少ではありますが)伸長することが可能です。

④集団戦でのAoEバフ・AoECCが強力

ソナのWとラックスのWという2つのAoEシールドに加え、ソナのUltの存在によってエンゲージ・ディスエンゲージがしやすい構成を構築することができます。

(2)短所

①レーン戦でのキルプレッシャー

レーン戦でのキルプレッシャーが薄く、またBotを押し込まれやすいことから、現在のメタで重要であるドレイクが取得しづらい状況に陥りがちです。

②レーン戦でのゴールドロス

サポートアイテムであるスペルシーフエッジには、以下の通りCS取得に関する制限の仕様があります。

  • そのゲームで初めてCSを取った瞬間、5分の「CSカウントタイマー」が始まる。
  • このタイマー中に合計で20CSを取得すると、ゴールド取得額が制限される。(-50%からスタート。1CSごとに1%ずつ減少値が加算され、50CS時点で最大の-80%に到達)
  • タイマー内のCS取得数に関係なく5分経過でタイマーが解除され、以降、最初に取ったCSから再び5分のCSカウントタイマーが始まる。

以上の仕様から、CSの取り方を工夫したとしてもレーン戦終了時点で得られるBot Duoのゴールドはおおよそ相手のSupportと同程度になってしまい、単純な相手Bot2人でのゴールド差が1k~2kほどついてしまうことになります。(ただ、ソナラックスの場合はラックスが安価なバフ系アイテムを持つことと、サポートアイテム自体の金銭効率の良さによってある程度この不利を補っています)

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実戦における15分時点での取得ゴールド

③中盤以降の失速が目立つ

ドラゴンとヘラルドが重要な現在のメタの中で(ただでさえレーン戦では押し込まれる)ソナラックス以外のチャンプのパワースパイクを終盤に寄せた構成は非常に取りにくいことから、中盤までにパワースパイクを寄せた構成になりやすいと思われます。

加えて中盤以降は、それまでバフ系アイテム・サポートアイテムの金銭効率の良さによって補ってきたゴールド差が徐々にアイテム自体の価値の高さによってひっくり返されていく(進化しきったサポートアイテムのゴールド価値は約1,500g程度である一方で、相手チャンプが積むインフィニティエッジには約3800gの価値があります)ことで、徐々に有利を手放していく形になります。

 

3.昔流行したソナタリックとの違い

大きな違いとしては、以下の3つが挙げられるでしょう。

  • ラックスのEのおかげで視界が取りやすい
  • ラックスのE、Ultのおかげでウェーブクリア能力がそこそこある
  • 代わりに集団戦の強さは控えめ


4.ソナラックスの目指す構成

(1)ソナラックスが目指す構成とゲームの流れ

前述の通り、Bot以外の他のレーンにキャリーを置き、ソナとラックスのW、アテネの血杯やアーデントセンサーのバフを付与することでキャリーさせる構成です。

一方で、中盤以降の失速が懸念されるため、おおよそ15分まででグローバルゴールド差を3kほど付け、以降はゲーム時間25分程度でゲームをたたむ必要があります。

さて、実戦においてC9は以下の通りシェン・ヘカリム・セト・ソナ・ラックスをピック。

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実戦のバンピック(ピック終了、入れ替え後)

セトにUltでエンゲージさせたところへ、ソナとラックスのW+各種バフ系アイテムの恩恵、そしてシェンのUltのトリプルシールドを付けたうえにソナのEのMSアップで攻撃力の上がったヘカリムを突っ込ませるという構成。


5.ソナラックスに対するTeam Liquidの見事な解答

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実戦のバンピック(ピック終了、入れ替え前)

(1)バンピックにおいて仕込んだ3つの対策

ブルーサイドの2nd 3rdピックでC9がソナラックスをピック。

これを見て察知したTLは、3つの対策を用意しました。

①ブリッツクランク

ブリッツクランクのピックには、単純なレーン戦でのピックアップ狙いのほか、実はもう一つの隠れた狙いがありました。

それは、UltでのAoEシールド破壊。ブリッツクランクのUltには相手のシールドを破壊したうえでダメージを与える効果があるため、ソナ・ラックス・シェン・そしてセトが自身で持つシールドを「瞬時に」「広範囲で」破壊することが可能なのです。

②シンドラ

(まだ相手のMidチャンプが確定しない中で)比較的先出ししやすいピックという意図に加え、Lv6以降のキルポテンシャルによる中盤の安定、更にソナラックスのバフを受けて突っ込んでくるチャンピオンをEのノックバックで弾きつつUltでダメージを入れることを狙っています。

③モルデカイザー

Eのノックバック(またはプル)によって前衛(セト、ヘカリム、シェン)と後衛(ソナ・ラックス)を引き離し前衛にバフを掛けにくくするとともに、キャリー(エズリアル・シンドラ)から相手のヘカリム・セトを引きはがすことでダメージを出しやすくすることを狙っています。

加えて、エズリアル・シンドラを狙ってきた相手をUltでキャッチすることでもキャリーの安全を確保可能です。

以上の3つの対策を踏まえ、TLは、中盤以降にダメージ源となるエズリアル・シンドラの安全を確保し、C9に仕掛けさせた後のカウンターを狙う構成を取りました。

(2)集団戦フェーズ(チームの方針、モルデカイザーとブリッツクランクの活躍)

レーン戦こそ無理に仕掛けてしまい、C9に有利を渡してしまいましたが、以降はドレイクを渡してでも交戦を避け、20分で迎えるエズリアルのパワースパイク(ムラマナ&トリニティフォースの完成)まで我慢しました。

更に、特にモルデカイザーの的確なEにより、前述通り集団戦でキャリーがダメージを出せる環境を作り出すことに成功。

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シェンとヘカリムを引き寄せ、ソナラックスから引きはがすモルデカイザーのE

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更にブリッツクランクがソナラックスと前衛を引きはがし、バフの付与も妨害。

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影から伸びてきた悪魔の右手

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そして最後の集団戦では、「シンドラの次はエズリアル」とばかりに迫るヘカリム・セトをモルデカイザーが再びEでプルし、エズリアルの安全を確保し勝利に貢献しました。

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エズリアルを守るモルデカイザーの手

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6.おまけ

最後の集団戦ではブリッツクランクも大活躍していました。

セトの極厚シールド(シールド量約1,500)を貫いてキルを取っていたり。

ブリッツクランクは初心者帯だけでなく、プロシーンでもOPであることが証明されましたね!

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(文:あきのあまき)