サステインマシマシ集団戦カラメなソナタリックに対するG2のソリューション
こんにちは、あきのです。
こんな感じのブログ記事を書くのは初めてですが、本日行われたLEC Final G2 vs Origenを見て、ソナタリック構成(以下、ソナタリック)へのG2の見事なカウンターに感動したので思わず筆をとった次第です。
具体的に言うと、G2はソナタリックへのカウンターとして「モルガナ・パイクのBotレーンを当てつつ」「ラカンをお供にしてジャングルとミッドレーンのCSをザヤに集める」ことで勝利を得ました。
この記事ではこの見事なカウンターが刺さった要因について、私なりの考察を書き出したいと思います。
1.ソナタリックってそもそも何?
- 通常はADCとSupを置くBotレーンにSupのソナとタリックを置く構成のこと。
- 近頃LCSやLEC等、プロシーンで流行を見せつつあります。
- ちなみに、先日行われたLJL Finalにおいては、3ゲームともブルーサイドをとったDetonatioN FocusMeがずっとタリックをバンし、ソナタリックを封じていました。Final終了後のファンミーティングにおいてKazuコーチにB/Pの意図についてお尋ねしたところ、やはりソナタリックを警戒していたそう。*1
2.ソナタリックの強み・弱みって何?
(1)ソナタリックの強み
ソナタリックの主な強みは以下の通りです。
①両者がシールド・サステインを持つためレーン戦が非常に楽
ソナがスペルシーフエッジ、タリックがレリックシールドを持ちます。
③両者がサポートアイテムを持つため中盤以降の視界の有利が取れる
ワードの個数が4つ増えるため、オブジェクト周りの視界が取りやすい(単純に視界の量が増えるだけでなく、相手にコントロールワードやオラクルレンズを多く消費させる側面もあります)
④集団戦がエグい
(2)ソナタリックの弱み
3.なぜG2はソナタリックにカウンターができたの?
おまたせしました、ここからがこの記事の本番です。
G2がいかにしてソナタリックにカウンターを刺したのか、その分析を「ドラフト段階」「レーンフェーズ」「集団戦フェーズ」に分けて考察したいと思います。
(1)ドラフト段階
まずは以下のドラフトを見てください。
G2はサイラス・カーサス・ドレイブンをバンした後、OGのレク=サイ(OPチャンプであると同時にKOLDの得意チャンプ)ファーストピックの返しとしてザヤラカンをピックします。このザヤラカンピックが、G2がOGに対し仕掛けた罠でした。
ザヤのレーンフェーズでの強さが並程度であることを考えれば、十分にソナタリックが通用します。OGは迷わず彼らをピックしました。
その後、G2はライズ・モルガナをピック。ここまで見ても、Topライズ・Midモルガナとみれば不自然なピックではありません。OG側はラストピックでソナタリックと相性が良いケネン*2をピック。
そしてG2が最後にパイクをピックし、初めて彼らの狙いが明らかになります。つまり、G2はOGが対抗策を打てなくなる最後の最後までピックの意図を隠し続けることに成功したのです。
最終的な各レーンのマッチアップをOG側から見てみると、Topこそ通常通りなものの、JGはG2側の森に入っていけない(ザヤラカンが二人で動いているので見つかったら即ピックアップされる)ですし、Midのヤスオも(レーンフェーズでのウェーブクリア能力は並程度ですから)ザヤがジャングルとMidを食い荒らすのを止められません。そして、(後述しますが)なによりもBotレーンのマッチアップが悲惨でした。
(2)レーンフェーズ
ソナタリックのレーン戦での強みは何だったでしょうか?そう、サステインマシマシによる継戦能力の高さですね。
じゃあそれを封じるにはどうすればよいでしょうか?レーン戦をしなければいいんです。G2はモルガナのWによって瞬時にミニオンを処理し、そもそもレーン戦を拒否しました。
このレーン戦拒否にはパイクは必要ありません。何故ならミニオン処理はモルガナのWだけで可能ですし、上述の通りソナタリックのレーン戦はキルポテンシャルが皆無だからです。(モルガナであればEのシールドでタリックのスタンすら無効化できます)
となるとどうなるか?パイクはレベル3から自由自在にロームし始めます。
結果、G2はレーンフェーズの間、Bot以外のレーンにおいて実質4 vs 3を強いることに成功しました。
(3)集団戦フェーズ
レーンフェーズの終了段階で4,500ゴールドのグローバルゴールド差をつけられたOGですが、ソナタリックの集団戦のポテンシャルを考えればまだ逆転は可能でした。Mikyxの使うラカンさえいなければ、の話ですが。
これについては説明するよりも実際に集団戦を見てもらったほうが早いかもしれません。
集団戦の要であるソナとケネンを非常に巧く封じ、効果的なUltの使用を妨害しています。
加えて、チーム全体としてOG側のUltを一つ一つ無駄遣いさせていくという意識が徹底されていました。
4.最後に(雑感)
今回のG2 vs OGを観て、思ったことを徒然と記載してみます。
(1)JGとMidはザヤラカンでなければならなかったか?
必ずしもそうではないと考えています。今回のG2の構成ではどうしても終盤のADが不足しがちになるため、ADチャンプのピックは必要にはなりますが、例えばヤスオグラガスでも機能したでしょう。*3(但し、嵌まれば非常に強力な一方で集団戦でのエンゲージがラカンよりも不確実になり、かつ相手にUltを吐かせた後にグラガスが帰ってこれないので一長一短)
(2)この戦略はファンネリングと呼べるか?
私はこの戦略はファンネリングと呼べないと考えています。この戦略のキモはJG-Midにゴールドを集めることではなく、Botのレーン戦を完全に拒否し、局地的な有利を作り上げる部分にあるからです。
(3)G2がこのカウンターをFinalで見せたのは何故か?
おそらくこのカウンターが一種のチーズ(初見殺し)戦略だからでしょう。例えば過去に流行したファンネリングの対策と同じように、Midにウェーブクリア能力の高いチャンプを置く等、ある程度であればすぐに対策を立てられそうです。(だからこそG2はGame3でソナを自らバンしたのでしょう)
加えて、今回の構成以外にも対抗手段が発掘されつつある(トゥイッチアニーとか)というのも一因でしょう。
(4)G2のドラフトを見て感じたこと
ソナタリックという強力なメタ(と言っていいでしょう)に対し、短期間のうちに既存の手法を組み合わせて鮮やかなソリューションを導き出し、それをチームとして完成させたG2には尊敬の念を抱かずにいられません。
今回の構成は非常にニッチで、かつ難易度の高いものでした。それをたったの1ゲーム(LEC Finalではあるけれど!)のためにここまで仕上げられるものなのか。G2というチームに情熱とパワーを見ました。
こんな素晴らしいチームとDFMがMSIで戦えたら、本当に楽しいゲームになるでしょうね!
5.おまけ
(1)ソロQでこの構成は機能しますか?
味方のSupがMikyxだったりMataだったりMeikoだったりして、かつあなたがPerkzだったりDeftだったりUziだったりするなら可能です。ぜひ実践してください。