あきののろるにっき

League of Legends(LoL)に関するさまざまなことを記事にしていきます。 twitterは@AkinoAmaki_LoL

Sengoku Gamingは何故Rascal Jesterに勝てたのか?命運を分けた2つのスキル

モナーの皆さんこんにちは、PBEではTFTを1戦やってはサーバに弾かれ、血の涙を流していたあきのです。
 
本日は、先日開催されたLJL2019 Summer Split Week2 Sengoku Gaming vs Rascal Jesterにおいて、グローバルゴールド差を最大で4,000ゴールドつけられたSGが、どのようにして逆転したのかを、「互いの構成」「序盤のピンチ」「中盤の転機」「終盤の逆転」に章分けして解説したいと思います。
なお、先にネタバレしておくと、このゲームの命運を分けた2つのスキルとは「ルシアンのW(アーデントブレイズ)」と「ライズのUlt(ポータルワープ)」のことです。この事を頭の隅において、この記事を読み進めてみてください。
 

1.互いの構成

まずは互いの構成から。
SGは集団戦を志向してライズ・シヴィアという終盤のAoEダメージ源を擁し、更には広範囲のCCを持ったニーコまで揃えました。
一方のRJは少数戦を志向してルル-オラフのMid-JGラインとルシアン-ユーミのADC-Supportラインを軸に据えました。
 

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このようにはっきりと出た構成差によって、
「SGはなるべくゲーム時間を延ばし、30分以降から無双する」
「RJは序盤からガツガツ仕掛けて有利を取り、迅速にゲームを終わらせる」
と、各チームの方針は明確化されました。
 
 

2.序盤のピンチ

しかしLv1、SG側はRJのインベードを予測していなかったか、Midのライズ(Taka選手)がフラッシュを使わされます。
このままJGまで有利をつけられるとオラフ-ルルラインによってMidが完全に破壊されることを察知したオラフ(Blank選手)はTopのニーコ(DonShu選手)をテレポートさせてまで赤バフの取り合いを決意。
しかし、スマイト勝負はLJLでも随一の精度を誇るWyverN選手、この勝負にきっちり勝ちきり、序盤からガツガツ行きたいRJに値千金の3キルをもたらします。
Midの主導権を渡すまいと仕掛けたこのLv1ファイトで、結果としてSGはJGも含むMid以外の全レーンで主導権を失う形となりました。
 

 
 
序盤の主導権を完全に失ったことを悟ったSGは改めて自分たちの構成を見つめ直し、目的を「ゲームの時間を延ばすこと」だけに集中して力を注ぎ始めました。
その後、RJ側から仕掛けられた少数戦で幾度か崩されつつも、それでも隙をついたヘラルドの獲得等からグローバルゴールド差を離されないよう食らいつき、なんとか追いすがるSG。そして転機は訪れました。
 

3.中盤の転機

第一の転機は24分4秒。グローバルゴールドは2,500ゴールドRJが有利な状況。
タワーシージしているミニオンの処理を行おうと少し前に出たライズ(Taka選手)を落とそうとしたRJでしたが、ライズはセラフ・エンブレイスの発動効果による分厚いシールドと素早いフラッシュアウトにより離脱逆にRJのオラフ(WyverN選手)が孤立しデッドしてしまいます。
また、同時にRJの裏側に見事なテレポートを決めたニーコ(DonShu選手)が残るルシアン・ルル・ユーミに全スキルを叩き込みトリプルキル獲得!
計4キルを獲得したSGは、そのままMidの1st、2ndタワーの破壊も行い、グローバルゴールド差をイーブンにまで戻しました。
 

 
 

4.終盤の逆転

そして、第二の転機にしてこのゲーム最大のポイントは35分3秒。
バロン付近でのファイトの後、レク=サイ(Blank選手)がバロンピット内に置いたコントロールワードを破壊しにかかったRJのルル(Ninja選手)とルシアン(Zerost選手)でしたが、うまく息が合わず、ワードのHPを1残してしまいます。
ここでルシアンがWのアーデントブレイズを撃ち、視界を確保しての破壊を試みましたが、失敗。それどころか、スキルを命中させたバロンが起きてしまったことで、ワードを直接破壊しに行ったルルも撤退せざるを得ない状況に。
 

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ワードを破壊する視界を確保するために撃ったアーデントブレイズ

 

 

こうして、バロンピット内にSGのコントロールワードが残りました。

 
実はルシアンのW、アーデントブレイズは、スキルが破裂した際の中心部の視界のみ確保でき、スキルが飛んでいく道中の視界は確保されません。よって、Zerost選手はルシアンを数歩下がらせ、スキルの破裂位置を調整してやる必要がありました。
 

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W(アーデントブレイズ)で確保できる視界の範囲
 
さて、ここでSGの視界状況を見てみましょう。
 
①バロンピット内
②ブルーバフ裏のバナナブッシュ
③その上の小さなブッシュ
④Mid付近のブッシュ
 
の視界を確保できているSGは、バロン付近にRJの視界が無いことを把握できています。

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SGが視界を確保できているワード
 
そこから更に時計を進めて、36分25秒。ワードを破壊していたオラフ(WyverN選手)のスイープレンズがギリギリで切れてしまい、SGが置いたレーンワードがHP1で残りました。
 

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これでSGは「RJがバロン付近に全く視界を確保していない状況」そして「RJがバロンに寄らずMidのプッシュに向かった場合、それを察知できる状況」を作り上げました。
この状況に完璧にはまったRJはMidレーンの前がかりな位置を取ってしまい、結果としてバロンをSGに明け渡してしまうこととなります。
 
バロンラッシュのコールを誰が発したのかはわかりませんが、この鮮やかな手際に貢献したMVPの一人は間違いなくTaka選手でしょう。
Taka選手がバロン取得と同時に展開したライズのポータルワープ。彼はRJのルル(Ninja選手)のUlt「おおきくなぁれ!」によるノックアップがギリギリで間に合い、ポータルワープの発動が止められることを予期していました。(ライズのポータルワープは、スネアやスタン、ノックアップ等のCCがライズ自身にかかると発動がキャンセルされてしまいます)
ゆえに、Taka選手はライズをバロンピットのギリギリ左端まで体を寄せ、Raina選手とDonShu選手がノックアップに捕まる中、CCを回避したのです。
 

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ライズの神スキル
 
その後、5人全員がバロンバフを持ち帰ったSGは、順調にMid、Botのインヒビターを破壊し、このゲームに勝利しました。
 

 
 

5.まとめ

このゲーム、序盤の主導権を握ったのは間違いなくRJでした。
しかし、自らの構成を見つめ直し、「時間を稼ぐこと」ただその一点に全てのリソースを注いだSGは、キャリーがパワースパイクを迎える30分台までひたすら耐えきり、RJの視界確保ミスに乗じる「マクロの戦略」、そしてTaka選手の神がかったポータルワープという「ミクロの技術」双方を以ってゲームを決めきり、今季2勝目をもぎ取りました。
 
歴史と同様、ゲームに「if」はありませんが、
 
「もしRJがアーデントブレイズの発動をミスらず、バロンピット内のコントロールワードを破壊できていたら」
「ライズにCCが入り、ポータルワープが発動していなかったら」
 
もしかすると、このゲームの結果は全く違うものになっていたかもしれませんね。