あきののろるにっき

League of Legends(LoL)に関するさまざまなことを記事にしていきます。 twitterは@AkinoAmaki_LoL

【あきののろるにっき#18】Uzi選手、引退。立ちはだかったLCKの壁と、ついに掴んだ栄光。

2020年6月3日。Uzi選手が引退を発表しました。

引退理由の一つは、右腕の異変をきっかけに発覚した、2型糖尿病

「右腕だけ見れば40代か50代」と言われるほどの症状の中、現在、彼は薬を飲みながら治療を続けていますが、服用後はほとんど何も口にできないほどの状態に陥るそう。

このままでは人々が望む「最高のパフォーマンスのUzi」を見せられないことから、引退を決意したとのこと。

 

「やり残したことはたくさんある」と言う彼。

「もっとやれることはあった、もっとうまくやれた」と言う彼。

 

曰く、LPLの星。

曰く、メカニカルモンスター。

曰く、Faker選手と並ぶLoLの二大巨頭。

 

そんな彼の辿ってきたプロ人生。「苦悩」と「LCKの壁」の果ての果ての果てに、遂に栄光を掴んだ彼の半生について、今回は焦点を当てたいと思います。

 

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Eyes on MSI: Uzi is King (2018 Mid-Season Invitational Finals)より抜粋 (https://www.youtube.com/watch?v=Vzndo9VPUmQ)

 

 

1.2013年 デビューと共にWCSへ。シルバーコレクターへの道の始まり

LPLには設立当初の2013年から参加。彼のデビューはRoyal Clubというチームでした。

デビュー時の評価の高さそのままにシーズン3の国内戦を優勝したRoyal Clubは、中国1位の代表としてWCS Season3に参加。

同郷のライバルOh My God、そしてLEC(EU)の強豪Fnaticを倒して決勝に上がりましたが、Faker選手を擁するSKTelecom T1に敗北*1

ここから、彼の、長い長いシルバーコレクター人生が始まります。


2.2014年 世界初、2年連続での世界大会決勝進出者に。そしてシルバーコレクター

Royal ClubはStar Horn Royal Clubに改名。

シーズン開始時には、全幅の信頼を置いていたSupのTabe等の引退等でチームは低迷しますが、その名も偉大なinSec選手とZero選手の加入等によりやや持ち直し、最終的には国内戦で2位に君臨。再びWCSへの出場をもぎ取ります。

WCSのプレイオフでは、国内戦の決勝で敗北を喫した相手であるEDward Gaming、そして3位であったOh My Godを軒並み倒し、ついに世界で初めて「2大会連続でWCSの決勝の舞台に立った男」となります。(チームメンバーはUzi選手以外全員昨年から入れ替わっていたため、当時は彼が唯一の記録保持者でした)

しかし、そんな彼に今回立ちはだかったのはまたもやLCK(韓国)の壁、そして、現在まで定石となっている「組織的に視界を取る戦術」を確立させたチーム、Samsung Whiteでした。

善戦するも決勝戦に1-3で敗れた彼は、2大会連続で優勝を逃すという不名誉を受けることになります。

 

3.2015年 移籍、初めての低迷

昨年のWCSでの敗北が影響したかどうか、Uzi選手はライバルチームであったOh My Godに移籍。

しかしチームとの呼吸がうまく合わず、結局Springは(プレイオフに進出するも)国内ベスト8(LGDに0-3で敗北)、Summerも7位(VGに1-3で敗北)と低迷。自身のキャリアで初めてWCS出場を逃すことに。

 

4.2016年 シルバーの呪い。古巣への復帰とLCKの壁

昨年の低迷を受け、SpringはOh My GodからQiao Gu Reapersに移籍。

レギュラーシーズンの前半戦は非常に調子が良かったものの、後半から失速してしまいます。プレイオフでTeam WEに0-3で敗北し、結局4位止まり。レギュラーシーズンで優勝したにもかかわらず、MSIへの出場を逃します。

そして再び移籍を決意した彼は、Summer Splitを前に、Royal Never Give Upと名を変えた、自らを巣立たせてくれたチームに舞い戻ります。

その後は、古巣の水が合ったか一転して彼の調子も上昇。レギュラーシーズンでは圧倒的な優勝を飾ります。

が、ここでも彼がシルバーコレクターぶりを発揮。決勝戦ではまさかの0-3でEDWard Gamingに敗北し、優勝を逃すことに。

辛い記憶を植えつけられつつも、幸いにもチャンピオンシップポイントを稼いでいたRNGはWCS出場を果たせることに。出場後はレギュラーシーズン並の調子を取り戻し、グループステージではTeam SoloMid(LCS)、Splyce(LEC)を下してプレイオフに出場しました。

しかし、その行く手を阻んだのはまたもやLCK、またもやSKT、またもやFaker。準々決勝で1-3の敗北を喫し、中国へ帰る切符を用意することに。

 

5.2017年 シルバーの呪いとLCKの壁、ここに極まる

2017年は更にシルバーコレクターっぷりに磨きがかかった年でした。

Looper選手、Mata選手という強力なTop、Supがチームを脱退してしまうも、代わりをLetme選手とMing選手という信頼できる2人が埋め、チームは盤石……に見えました。

しかし、Spring、Summer共に「レギュラーシーズンは優勝」「プレイオフは準優勝(Summerにいたっては、EDWard Gaming相手にに2-0までリードしたにもかかわらず2-3でリバーススイープを食らう)」という、クイックシルバーサッシュ銀色に呪われているのではないかというレベルに。

ともあれ、WCSには出場したRoyal Never Give Up。苦手とするLCKのSamsung Galaxy、LEC(EU)のG2 Esportsを倒し、グループステージは首位で突破。

しかし、その行く手を阻んだのはまたもやまたもやLCK、またもやまたもやSKT、またもやまたもやFaker選手でした。(準決勝で2-3でSKTに敗北)

 

6.2018年 遂に報われる年。MSI優勝と韓国へのリベンジ

苦節6年。気の遠くなるような忍耐。同期選手も次々と引退していった中で、彼にも遂に報われる瞬間がやってきます。

まず、新たなロスターとしてTopにZz1tai選手、JGにFlash Wolves*2より「世界的ジャングラー」と呼ばれたKarsa選手を招き、万全の体制を整えます。

そこからは堰を切ったかのように実績を上げ始めるRNG。Springのレギュラーシーズンで優勝すると、決勝戦でEDward Gamingを破り、遂にUzi選手は2013年以来の国内戦優勝。

その勢いのまま、出場したMSIにおいて、

Top:Khan選手
JG :Cuzz&Peanut選手
Mid:Bdd選手
ADC:PraY選手
Sup:GorillA選手

という、「当時のロール別世界最強候補を集めた」といっても過言ではなかったドリームチーム、その名もKingzone DragonXを3-1で下し、MSI優勝。

更に、アジア大陸最強を賭けたイベントである2018 Asian Gamesに中国代表の一人として出場し、決勝戦では優勝候補と目された韓国を下して3-1で優勝。

WCSこそ準々決勝でG2 Esportsに敗れたものの、十分な結果を残したと言えるでしょう。

 

7.2019年 病状の悪化、成績の低迷

2019年。病状の悪化に伴い、ついに彼にも翳りが見え始めます。

昨年からロスターはほぼ変更が無かったものの、Springはプレイオフで6位に落ち込みます。

Summerはプレイオフで準優勝したものの、WCSでは彼のキャリアで初めてグループステージ落ちを経験。

その絶望に叩き込んだのは、またもやLCK、またもやSKT、そして、またもやFaker選手でした。

 

8.2020年 キャリアの終わり

そして2020年。キャリアで初めて長期の休養を取り、Springを欠場したUzi選手は、6月3日、ついに引退を発表。

 


曰く、Vayneの神。
曰く、1v1世界最強。
曰く、ADC世界最強。

 


そう呼ばれたUzi選手は、ここにプロ人生の終止符を打ちました。

 

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Eyes on MSI: Uzi is King (2018 Mid-Season Invitational Finals)より抜粋 (https://www.youtube.com/watch?v=Vzndo9VPUmQ)


9.おわりに

Uzi選手のプロ人生、いかがだったでしょうか。

少しでも彼の引退に何かを感じていただいた方は、是非この動画を見てみてください。

きっと、言い知れぬ何かを感じてもらえると思います。

(Merrydayさん、教えていただきありがとうございます)

 

(文:あきのあまき)

*1:ちなみにこのときSKTでSupportをしていたのは、昨年までSengoku GamingでコーチをしていたPoohManDuさん。

*2:かつて存在していた地域、LMS(台湾・香港・マカオ地域)のチーム