【あきののろるにっき#21】DFMの作戦遂行力に打ち勝ったV3、チームとしての団結力【DFM vs V3解説】
こんにちは、10年ぶりくらいにFPSを触るか……と、VALORANTをやってみたらボコスカにやられたあきのです。(sry team...)
ペーパー〇ンみたいなお手軽さは全く無い、大変硬派なゲームでした(血涙)
さて今回は、先週日曜日に行われたLJL2020 Summer Split Week3の天王山、DFM vs V3のゲームを見ていきたいと思います。
序中盤に重心を寄せた構成のDFMが狙い通り序盤から大きな有利を築いた一方で、V3がどの様にしてDFMの猛攻に耐え、勝利への道筋を手繰り寄せたのかを解説します。
1.ドラフト
(1)DFMの構成
パンテオン、ツイステッド・フェイト、アッシュ、タム・ケンチという4つのグローバルUltを揃え、レベル6から中盤までにかけてのgank能力とサイドレーンへの圧力がすさまじい構成です。
一方でダメージは物足りず、集団戦でDPSを出しづらいツイステッド・フェイトとアッシュがダメージディーラーの中心。
加えて、終盤はウーコンがUltで相手のバックラインをかき乱しても強力なダメージを合わせるディーラーがいないことから、中盤までにゲームを決めきる必要があります。
(2)V3の構成
非常にバランスの良い構成で、序盤はリー・シン、ルブランのjg-midラインでのキルプレッシャー(ルブランにキルが入ればブリンクを持たないツイステッド・フェイトとアッシュの脅威になります)、中盤以降はマオカイとスレッシュを盾に、2コアアイテムを持ったアフェリオスが暴れます。
よって、序盤からルブランを活躍させればよし、失敗したとしても中盤頃まで互角~やや負け程度であれば、ダメージディーラーのキャリー力の差で非常に有利になるという、隙を生じぬ二段構え。
2.序盤:~15分 DFMが見せた作戦遂行力
序盤15分まではDFM側が狙い通りのゲームプランを実行し、着実にスノーボールの準備を整えます。
(1)5:20 Evi選手のベイト成功
ウーコンは、味方のパンテオンがすぐ近くにいる事を確認。低レベル時であれば、ウーコン&パンテオンとマオカイ&リー・シンの2v2なら勝てると判断。
敢えて不用意なスキル回しでブリンクし、ベイトを成功させます。
(2)7:30 グローバルUltのプレッシャー+TP差を活かすDFM
パンテオンとツイステッド・フェイトのグローバルUlt2つ+Topのテレポート差を活かし、DFMがドレイクを獲得します。
その間、V3は逆サイドのカウンタージャングル等、不利を取り返す行動をとれませんでした。
(3)8:50 Topの主導権を活かすDFM
ウーコンvsマオカイというTopのマッチアップにおいて、プッシュの主導権を持っているDFM。先にミニオンをタワーに押し付けたウーコンが先に寄り、人数差を作ったDFMがそのままヘラルドを獲得します。
(4)10:45 グローバルUltの活用によるタワーダイブを成功させるDFM
パンテオンとツイステッド・フェイトのグローバルUlt2つを使い、構成の狙い通りTopのタワーダイブに成功。
このgankには事前に下ごしらえがありまして、gankを成功させる約15秒前、アッシュがEをV3のBot側ジャングルに放ち視界を確保していました。
この視界に映らなかったことで、リー・シンの位置はTop側ジャングルが濃厚。
なので、ツイステッド・フェイトのUltでリー・シンの位置を捕捉し、gankのカバーがされない位置にいることを瞬時に判断したうえでダイブを決行したのでした。
(5)13:15 V3の好判断、しかしそれをひっくり返したDFMのテレポート速度
ドラゴン前での小競り合いの後、スクライヤーブルームを起動したDFM。映った視界を元にV3の面々がMidへ行ったと判断します。
その情報を受け、アッシュはBotで前のめりにファームしていましたが、V3のメンバーのうちリー・シンとアフェリオスだけはスクライヤーブルームの視界が切れた瞬間にBotへ反転、アッシュにgankを刺します。
しかし、キルを持っていないリー・シンとコアアイテムを持たないアフェリオスではやや力不足。ギリギリでアッシュを逃がした末、DFMの高速テレポートによりカウンターを決められます、V3側のテレポートが到着したのはその1.5秒後。もはや形勢は決まりきった後でした。
結果、DFMはこの集団戦の勝利により4キルと(本来取られるはずだった)ドレイクを獲得。非の打ち所がないほど、序盤のスノーボールに成功します。
(ちなみにアッシュは威嚇でEを使っていたり。リー・シンがWでブリンクしたのはEに反応した……のか?)
(6)まとめ:15分まで
序盤はDFMが狙い通りグローバルUltのプレッシャーを駆使した戦術を遂行し、一方のV3はリー・シン、ルブランのラインでのキル獲得がうまくいかないという、対照的な状況となりました。
結果、DFMは(タワーこそ取れていないものの)ドレイク2つ、グローバルゴールド差を3.5kへ拡大。きちんとやるべきことをやれたことで、以後のスノーボールに期待がかかります。
一方のV3はルブランのプレッシャーが思うように機能せず、「第二の矢」である「終盤のアフェリオスのパワースパイク」までひたすら我慢する必要が生じたことに。
3.中盤:15分~25分 長い忍耐の末、僅かなほころびを突いたV3がDFMのスノーボールを止める
(1)22:20 アフェリオスがインフィニティエッジ、ルナーンハリケーンを完成させる
Midタワーを折られようとひたすら我慢したV3。ついに労が報われ、アフェリオスに2コアアイテムが完成します。
これでようやくキャリーとしてダメージが出る状態になり、グローバルゴールドがマイナス約5.5k差という状況下であっても、当たり方によってはV3に勝機が生まれ始めました。
そのことに当然すぐ気づいたDFM。
焦りによってか、序盤では考えられなかったチームとしてのコミュニケーションエラーを何度も見せてしまいます。
(2)22:40 DFMのコミュニケーションエラーその1
Evi選手が操るウーコンが、相手が2人しか見えていない状況下にもかかわらずgank回避に必要不可欠なWのブリンクを使用してしまい、結果としてフラッシュを使用させられることに。
そしてこの隙を当然見逃さないV3。再三のエンゲージの末、ついにタム・ケンチを捕らえ、そこから4キル&バロンをもぎ取ります。
さて、ゲームの趨勢を決めたともいえるこの集団戦で最も輝いていた選手。それはV3のRaina選手でしょう。
スレッシュを使い、相手キャリーの妨害と味方のアフェリオスの防衛というバランスの難しい仕事を任された彼は、しかし期待されていた以上のパフォーマンスを発揮しました。
即ち、
①非常に見えにくい位置からアッシュにフックを当てる。
②エンゲージしてきたウーコンに対しすかさずUltを起動し、相手をゾーニング。
③前線でアッシュのダメージを受け切ったマオカイをWで救出。
④アフェリオスの近くにUltでブリンクしてきたツイステッド・フェイトをEでピール。
⑤ツイステッド・フェイトのCC付きの通常攻撃を読んで、アフェリオスが食らった瞬間にミカエル発動。(たまたま赤カードだったので不発に終わりましたが)
⑥敗走しようとするツイステッド・フェイトにフックを当てる。
という6つの活躍を、僅か1つの集団戦の中でこなしていたのです。
(3)24:45 DFMのコミュニケーションエラーその2
序盤の有利を帳消しにされたDFMは、しかしチームの構成上、自分から仕掛けるのであれば「ウーコンとパンテオンが敵のバックラインを荒らし、その間にアッシュがダメージを出しきる」しか集団戦の戦い方がありません。
そんな中、有利を取り戻そうとするDFMに二度目のコミュニケーションエラーが生まれます。
直前の戦闘でフラッシュを落としたウーコンが、Raina選手が操るスレッシュのフックを避けるためにWのブリンクを使用。Eのブリンクしか残されていない状況にもかかわらず、パンテオンがV3のバックラインに突っ込んでしまいます。
これに無理やり合わせに行こうとしたウーコンは、リー・シンのダメージとアフェリオスが事前に設置していたセントリーによって即デッド。
これで集団戦の形が崩れたDFM。なんとかダメージを出しに行こうとするアッシュとツイステッド・フェイトも、Paz選手のマオカイが即座に展開したUltのゾーニングによって全く前に出られず、パンテオンが孤立死してしまいます。
スレッシュのフック(またRaina選手!)に捕まったツイステッド・フェイト、リー・シンにinSecされたタム・ケンチも加えて計4キルを獲得したV3は、一気にタワー3本、インヒビター1つ、更にはDFMにドラゴンソウルのリーチをかけられていたドレイクまでも獲得し、盤面を一気に優勢に持っていきました。
(4)まとめ:25分まで
タワーを取られようと我慢に我慢を重ねアフェリオスの2コア完成まで待ったV3が集団戦2つでひっくり返しました。
ここからはついにV3の時間。アフェリオスのダメージは止まらなくなり、マオカイのUltによるゾーニング、スレッシュのピールとミカエル、自前のクレンズを盾に、思いっきり暴れ回ることが可能に。
4.終盤:25分~ゲームエンド
(1)27:00 DFMのコミュニケーションエラーその3
Midレーンでやや浮き気味にファームをしていたアフェリオスを見て取ったDFMは、一縷の望みを賭け、グローバルUlt4つ+TPを使った全力エンゲージを敢行します。
しかし、ここで致命的であったのがパンテオンのUltの位置でした。
ウーコンのTP、タム・ケンチのUlt、アッシュのUlt、ツイステッド・フェイトのUltは全てTop側リバーに集中していましたが、パンテオンのUltだけは完全にそっぽを向いてしまい、Midタワー付近へ着弾してしまったのです。
ブリンクを持たず、フラッシュも上がっていないアフェリオスが耐えられるCCは、ミカエルとクレンズで解除できる2つまで。事実、アフェリオスはアッシュのUltとツイステッド・フェイトのスタンカードの2つをそれらで解除しました。
パンテオンのWの対象指定スタンさえあれば……
結果として1キルも取れなかったこのエンゲージは、DFMにとって非常に悔やまれる結果となりました。
(2)37:50 パワースパイク終了後も工夫で粘り粘ったDFM、ついに力尽きる
深刻なダメージ不足の中、それでも勝ちの目を見出そうとするFMは、集団戦の戦い方に変化を加えます。
それまでは積極的にウーコン・パンテオンがエンゲージし、バックラインを荒らす方針であったのが、そのままの戦い方ではアフェリオスを溶かしきれないと判断。
ツイステッド・フェイトのスタンカードとパンテオンのWという対象指定スタン2つに加え、ウーコンのUltという合計3つのCCを「見せ球」として使い、ギリギリまで温存することでアフェリオスが前に出てダメージを出しにくい環境を作り出しました。
しかし、チームの全精力をアフェリオスに注いだ結果、最後の最後はBugi選手操るリー・シンの前からの圧力に耐えられませんでした。
inSecによりツイステッド・フェイトが、Qによってアッシュが落ち、ついにGG。
5.V3の勝因は何だったのか
このゲームにおけるV3の勝因とは一体何だったのでしょうか。
私は
「明確な目標(アフェリオスの2コアを完成させる)を決め、そこまで我慢し続けるチームとしてのメンタル力」
「相手のほんの少しのゆるみ・ミスを的確に咎める対応力」
「チャンスと認識すれば、『行くときは行く』というチーム全体の勇気」
の3つであったと考えています。
5シーズンぶりにDFMから「優勝」の2文字を奪い去るチームが、現れたかもしれません。
(文:あきのあまき)