あきののろるにっき

League of Legends(LoL)に関するさまざまなことを記事にしていきます。 twitterは@AkinoAmaki_LoL

【あきののろるにっき#39】Riot初の短編小説が1.5倍楽しく読める!予習しておくととっても幸せになれる10の単語

こんにちは、あきのです。

今回は、Riotから発表されたLoL初の短編小説「ガレン:一番盾」が1.5倍楽しく読めるようになるための記事を書きました。

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1.記事を書くことにしたきっかけ

実は今回、幸運にも先行レビュワーの一人として、皆さんに先んじてこの短編小説を読ませてもらいました。(多分もう一生こんな幸運訪れないと思います……!)

内容にめちゃくちゃ興奮しながらサイオンのUlt並のスピード(MS950固定)で読んだんですが……読み進めていくうちに感じたことは、「これ、ユニバース(LoLの世界観)の細かい知識なしで読むのはあまりにもったいないな」ということでした。

というのも、ページのそこかしこに「知っていれば嬉しくなる、ちょっとしたワード」がちりばめられているんですよ。

例えばドーントレス前衛隊。

単なるデマーシア軍の一部隊というわけではなく、軍の中でも精鋭中の精鋭が集められた選りすぐりの一団で、しかも隊長がガレンということを知っていれば、この単語を見たときの印象も大いに変わってくるでしょう。(ちなみに、そんなエリート部隊への入隊可能性が見いだされたポロがいるって知ってました?)

 

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全身をルーン鋼に包んだデマーシア兵の雄姿(Riot公式より。以下同様 Link

例えばハイ・シルバーミア。

事前知識が無ければ「デマーシアのどこかの都市」で通り過ぎてしまうこの単語も、「ガレンとラックスの兄妹が幼少期を過ごした場所で、銀の翼をもつラプターで有名な高地」であることを知っていれば、おのずとその情景が浮かんでくるでしょう。

 

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ハイ・シルバーミアの情景。遥か高地に豊富な水をたたえている。

 

 


そんなわけでこの記事には、小説を読むうえで、「知っていると楽しめる」言葉の解説を頼まれてもいないのに勝手に記事を書いて詰め込みました。

是非、本編を読む前にこの記事を読んでいただければと思います。

 

 

2.あらすじ(物語の導入部分)

時系列はコミック:ラックスの少し後。

自らが付き従っていながら国王ジャーヴァンⅢ世(ジャーヴァンⅣ世の父)を殺害されてしまったガレン。苛烈なメイジ狩りからメイジたちを助け出し、共に旅することを決めたラックスを見送った彼は、後悔と共に眠れない日々を過ごしていました。

そんなある日、叔母であり、またデマーシア大元帥でもあるティアナ・クラウンガードに呼び出された彼は命令を受けます。

「デマーシアの東にある同盟国、ノックマーチに派遣した大使から手紙が届いたが、精巧に書かれた偽造文書だった。あの国はおそらく何かを隠している。ノックマーチの現状と大使の身の安全を確かめよ」

国王を弑されるという最悪の失態を犯し、しかも一番の親友であるジャーヴァンⅣ世も冷静さを失ってサイラスを追いかけている状況下、とてもデマーシアから離れる気にはなれないガレンでしたが、謹厳実直を体現する男としては、同意はできずとも命令を受け入れます。

急ぎ彼は船を準備し、川を遡上してノックマーチへと向かいます。ドーントレス前衛隊の中でも最古参級のメレック軍曹や、未曽有の好成績で入隊を果たし、自身も目をかけていた娘、クラウドフィールドのシスリアといった最精鋭の兵士たちを連れて。

 

3.予習しておくと幸せになれる単語集:人物

(1)ドーントレス前衛隊

彼らはマーシア建国初期から存在する軍団で、国が誇る最精鋭部隊です。

隊員の一人一人が地元の英雄であり、例えば「僅かな味方を率いてノクサスの精鋭部隊であるトリファリアン・レギオンの軍団を丸一日相手にした剣士」や「百年に一度目覚めて暴食するという恐るべきディープワームの討伐者」、「フレヨルドの港湾都市フロストヘルドを焼き尽くした男」などなど、個人単位でもその武勇伝には枚挙にいとまがありません。

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「デマーシア最強を誇る精鋭部隊、ドーントレス前衛隊はその一人ひとりが故郷の村や地方で武勇を語り継がれる勇士だ。それでもその名声に胡座をかく者はいない。彼らの目標は、王国全土にその名を轟かせることなのだから。」 LoRのフレーバーテキストより

 

そして、それらの全員を束ねる指揮官こそが「デマーシアの勇士」ガレンです。

彼を見ればわかるようにデマーシアは規範を重んじる国であり、一般に武具もみな統一されたものを使用するのですが、ドーントレス前衛隊だけは、その戦闘能力を遺憾なく発揮できるよう、ある程度装備の自由が認められています。

しかしさすがは歴史ある部隊というべきか、その武具も古兵から新兵へと受け継がれる伝統があるのだとか。

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「ドーントレス前衛隊の装備は兵士から兵士へと受け継がれてゆく。新兵はその装備を手にすることで、自らが負った任の重さと栄誉とを体感するのだ。」 LoRのフレーバーテキストより

 

ちなみに、前述した通り、デマーシア軍に所属しているとあるポロもドーントレス前衛隊入りの可能性が噂されたことがあったり。

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「この新兵の持久力と勇敢さは、我が軍の精兵にも劣らん。なに?いつかは前衛隊入りできそうかって?他の者より多少小柄ではあるが…ないとは思わんな」 - 前衛隊の曹長 (LoRのフレーバーテキストより)

 

(2)クラウドフィールドのシスリア

彼女はデマーシアにおけるシンデレラガールです。シンデレラと言っても軍隊においての、ですが。

マーシアの中心部から離れた土地に生まれた娘である彼女は、読み聞かされるおとぎ話の影響で、子供の頃から祖国の英雄たちに憧れを抱いていました。

そうしてついにデマーシアの中心である大都デマーシアへと上洛した彼女は、軍への入隊を果たします。

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「母は毎晩寝る前に、剣を研ぎながらデマーシアの偉大な英雄たちのお話を語ってくれました。おかげで私は、冒険に満ちた夢を見ることができた。そして今日、私は自分の物語を紡ぎ始めるのです」 LoRのフレーバーテキストより

 

そして、軍へ入隊して一年。

経験を積み、隊の中では最年少ながら剣さばきの素早さで知られるようになった彼女は、ガレンの推薦を得てドーントレス前衛隊の入隊試験を受験します。

1か月にも及ぶ過酷な試験の末、彼女は歴代でも有数の好成績を残して合格。ついに英雄への入り口、前衛隊への入隊を果たしたのです。

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「新たな出会いがあるたびに、新たな旅に出るたびに、私は新たな学びを得た。けれど学ぶほど、強くなるほど、道はまだまだ長いことを実感させられるの」 - 前衛隊の従士 シスリア (LoRのフレーバーテキストより)

そしてその後、デマーシアの英雄へ上り詰めた彼女。

自分自身の冒険を求めて故郷を離れ、ついにはデマーシアの英雄の一人として名を連ねた彼女ですが、今もまだ世界にあふれる冒険を追いかけています。

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「伝説やおとぎ話を絵空事だと思ったことはない。それらはどれも、私を誘う冒険譚だった。私は自分自身の冒険を求めてクラウドフィールドを離れたけれど、探すまでもなく世界は冒険で溢れていた。そう、すべてはまだ、始まったばかり」 (LoRのフレーバーテキストより)

(3)大元帥 ティアナ・クラウンガード

よく「ガレンはデマーシアを体現した人物」と評されますが、「デマーシアの体現」という点においてティアナ・クラウンガードに勝る者はいないでしょう。

ガレンの叔母であり、デマーシアの国家とその理念を守る名門クラウンガード家の一員である彼女は、軍でも大元帥という地位に就いています。

その性格はまさに「厳格」。一切の妥協を許さず、また誰よりも己に厳しい彼女は、私情を一切挟むことなく祖国の発展に貢献します。

当然そんな彼女は、同じクラウンガード家であっても(むしろクラウンガード家だからこそ)ラックスが持つ魔法の力を一切認めることなく、現在に至っています。

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「王国のため、我が家門はその血を流してきた。些細な光の手品如きで、一族の名誉を汚すことは許しません」

「我らが掲げる旗、その重みをよく理解することだ。この旗は我らが仰ぐ王、連なる家門、守る民を象徴するもの。一片の揺らぎもなくデマーシアを信じる我らの心そのものなのだ。高く掲げ、我らの誇りを示しなさい」

 LoRのフレーバーテキストより

 

ちなみに彼女はガレンより前にドーントレス前衛隊を率いていたことがあり、タフな軍人としてもその名が知られています。

そんな彼女が前衛隊を率いての初陣は、ノクサス相手の要塞防衛戦。この戦いの中でノクサス軍を打ち倒し捕虜としたのが、後にシン・ジャオと呼ばれ、デマーシアの家令長まで務め上げる人物でした。

 

(4)ティアナの夫 エルドレッド

ティアナ・クラウンガードの夫である彼(但し、夫婦仲はフレヨルド並に冷え切っている様子)は、その歴史をデマーシア建国の頃まで遡る「メイジ狩り」の長です。

何者かに弑される前、ジャーヴァンⅢ世はそれまでの失政を悟り、メイジ狩りにメイジの逮捕停止を命じる計画をしていましたが、時すでに遅し。

エルドレッド卿がその命令を受ける前に国王は殺害され、その結果、彼が率いるメイジ狩りはその活動の過激さを増していくのでした。

現在のデマーシアでは、魔力を持つ市民は(無害かどうかにかかわらず)全員が裁きの場に出るよう法が改正されており、メイジ狩りはこの法令のために市民たちを狩り立てています。

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「遠い昔、ルーン戦争で用いられた始原の魔法はルーンテラ全土に滅びをもたらした。我々は王国を守るべく、その内外を問わずに魔法を排することを目的として設立された」 - メイジ狩りの手引書 (LoRのフレーバーテキストより)

 

(5)かつてのデマーシア国王 アルゴスタン

今回の短編小説で初めて名前が明かされた、現在から遡ること数世紀前のデマーシア国王です。

グリーンファング山脈(後述)の頂上にエバーピーク(ラプター騎兵たちが故郷とする山砦の中で最も重要と言われている山砦)を築いたこと等で知られる王様ですが、中でも彼のこの言葉は、簡素でありながら力強いものとしてガレンも借用しているようです。

 「ドーントレス前衛隊が立ち続ける限り、デマーシアは決して倒れぬ」

 

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この陣形は我々の戦術の基礎となるものだ。これを成立させるためには、各々の兵士が自らの盾に、そして戦友の盾に揺るぎなき信頼を置いていなくてはならない。彼らが立ち続ける限り、王国は決して滅ばん (LoRのフレーバーテキストより)

 

(6)デマーシア建国の祖 オーロン

はるかな大昔、デマーシア建国初期の人物で、元々はルーン戦争によって荒廃した世界で安住の地を探す流浪の部隊の隊長でした。

そんな彼が見つけた場所は、魔法を防ぐ効果を持った木の林立する地。そこを居住地と定め、まさに「何もない」ところからデマーシアという国の建国に大いに貢献した人物こそが彼です。

その人気は留まることを知らず、建国の祖である彼自身だけでなく、背負っていたハンマーすらも聖なる象徴として崇められるほど。(そのハンマーは現在、オーロンの友であったポッピーが使っています)

 

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「…勇者?いや、私はこのハンマーを預かっているだけの、ただのヨードルだ。」

 

更に、著名な武器鍛冶として名を馳せた彼は、ハンマーのほかにドレイクベインという銘の巨槍を鍛え上げました。

マーシア初期の入植者たちを苦しめた氷龍マエルストゥロムとその子孫を討つために鍛造されたこの槍、現在はジャーヴァンⅣ世が武器として携えていますが、その威容はデマーシアにそびえ立つ白い城壁や国王の冠と同じくらい偉大な国の象徴として崇められています。

 

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「統治者は言葉によって成るかもしれぬが、歴史は行いによってのみ成る」


4.予習しておくと幸せになれる単語集:モノ、場所、生き物

(1)ペトリサイト

この物質の発見はデマーシア建国初期まで遡ります。

魔法の力が暴走し世界中が荒廃しきっていたこの頃、破滅的な魔力から逃れてきた人々の一部は、なおも悪しきメイジの集団に追われていました。

気の休まることのない逃亡の日々に疲れ切った彼らは見たことのない「白い森」へと入り、はたと気が付きます。「この森の中では、魔法が無効化される!」

 

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魔法を吸収する力を持った木々が生い茂る、不思議な白い森

ライズ:力への呼び声より

魔法から護られたこの場所を安住の地と定めた彼らは、「魔法を無効化する木」の利用法を考えました。

当初こそ木で防具を造るだけに留まっていたものの、次第にその技術は高度化。そして「魔法を無効化する木」に灰と石灰を混ぜることで生み出したのが、強力な魔法耐性を持つ「ペトリサイト」と呼ばれる物質でした。

その影響力はすさまじく、新しい国の礎として防壁の材料にもなっています。

 

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王家の居城。素材となる木が白いため、ペトリサイトを用いた建材は白くなる。

 

(2)ブライト鋼

別名でデマーシア鋼やルーン鋼、シルバー鋼と呼ばれ、材料として使用しているペトリサイトの効果により、若干ですが魔法を防ぐ効果があります。

噂では、戦闘で魔法の攻撃を防ぐために、デマーシアの武器鍛冶たちは金属を聖水に浸して焼き入れするのだとか。

 

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「戦の勝敗は鍛冶場で決まる。」 LoRのフレーバーテキストより

 

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マーシア特有の鋼のおかげで、デマーシア軍は他国の魔法力に対抗することができる。

(3)グリーンファング山脈

マーシアとノクサスの国境にほど近い場所にある山脈で、両国を隔てる天然の要害の一つです。

また、マーシア軍に所属する「レンジャー騎士」たちが集う場所の一つでもあります。

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レンジャー騎士の一人、ジェネヴィーヴ・エルムハート

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レンジャー騎士にはたいてい相棒がいる。「デマーシアのレンジャーが戦う姿には、いつだって驚嘆させられる。分かちがたい絆で結ばれた人間と動物が並び立ち、熱い決意を胸に一心同体となって戦うのだ。」 LoRのフレーバーテキストより

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彼らレンジャー騎士の中には、銀翼のラプター(通称シルバーウィング)を駆って敵陣の偵察や攪乱を行う者も。

 

(4)ラプター

モナーズリフトでは可愛らしい生物(ジャングラーにはまた別の意見があるかもしれません)であるラプターも、ルーンテラの世界では非常に怖い存在です。

特にマーシアラプターは高地の険しい岩山に生息する貪欲な捕食獣ですが、上述の通り、レンジャー騎士たちの中にはその背に騎乗するものもいたりします。

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モナーズリフトとはイメージが違う、デマーシアラプター

 

5.おわりに

いかがだったでしょうか。

今回紹介した用語のように、小説の中ではちょっとだけ出てくる言葉であっても、その裏には豊富で壮大な物語が隠されていることを知っていただけたなら、これに勝る喜びはありません。

この記事を楽しんでいただけたなら、是非メインディッシュである短編小説もご覧ください。

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(文:あきのあまき)